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風邪=葛根湯ではない

2023/8/16

風邪をひいた時のポイントは  体温   発汗  免疫力  です。

 風邪などのウイルスは低温の方が繁殖しやすいという性質を持っていますので、ウイルスが侵入してしまった場合は発熱した方が戦う身としては有利になります。解熱剤が開発された18~19世紀頃は発熱は異常なのですぐに解熱剤を飲んで平熱に戻すべきだという考えがありましたが、現在は発熱は生体防御機能のひとつとされ重度の発熱以外は解熱剤を与えない方が良いという考えが主流になっています。

 ただ高齢の方や虚弱体質の方だと熱が上がりきる前に自然に発汗して体温を下げようとする作用が働いてしまい、ウイルスとうまく戦えない場合があります。汗の有無は自分では意外と気づいていない場合があるので背中などを触って確認した方が良いです。

 白血球の動きが活発になると侵入した外敵をたくさん処理してくれます。白血球とはヘモグロビンを持たない血液中の細胞(つまり血流は免役に関わる!)のことです。

 

 風邪で市販の漢方薬を使うときはまず汗の有無で選別します。

 汗が出ている場合は桂枝湯香蘇散が選べます。
 ここで葛根湯や麻黄湯などの麻黄が含まれている漢方を選んでしまうと、より発汗が促されてしまい体力消耗ばかり続いてしまうことがあります。桂枝湯などで徐々に体温をあげて、さらに温かいおかゆをすすって布団にくるまって寝ることをおすすめします。

 汗が出ていない場合は葛根湯麻黄湯香蘇散が選べます。
 ※ただし麻黄は狭心症や心筋梗塞の既往のある方は禁忌。その他循環器系疾患や低カリウム血症や胃腸が弱い方は注意が必要。ほかの漢方薬との組み合わせも基本的には不可。
 葛根湯は桂枝湯に葛根と麻黄(2つとも発汗作用有り)が加わった構成で、2000年ほど前の文献に登場する古~い漢方薬です。麻黄湯は葛根湯より構成が少なく身体を温める作用や発汗を促す作用が強い薬です。使い分けは葛根湯は首や肩の筋肉の張りが気になる場合、麻黄湯はがっちり体系で寒気が強い場合に向いています。ただし、どちらも風邪の超初期段階の「あれ?もしかして風邪ひいた?」というときに服用しないとアッという間に効果が半減してしまいます。

 麻黄が使えない方、長引いてしまった風邪、その他持病がある方は自己診断せずに病院に行くことが大事です。
 病院に行きつつ、自分でできることは自分で免疫力を上げて治癒力を底上げする方こととよく寝ること(麻黄は眠れなくなることもあります)です。先述した通り免役は血液と血流が大事です。
 呼吸器系の風邪の場合はくるぶしの高さの足湯、胃腸系の風邪の場合は膝の高さまでの足湯にさし湯をしながら5分ほど入るとじんわり身体が温まります。天然塩が手に入ればそれを入れるとより温まります。水分補給はゴクゴクではなくチビチビと飲んでくださいね。
 鍼やお灸も効果的です。やってくれる人がいれば身体の正中に近い首から肩まわりで冷えているところやおへそより下の張りがないところにお灸をするのがおすすめです。
 足つぼならつめの周りや水かきを布団の中で揉む程度が良いですね。

現代の夏はクーラー必須になってきているのでエアコンによる風邪も増えてきています。
最低でも首、手首、足首は睡眠時や出先でガードできるようにしていてほしいです。
 襟のあるパジャマを着る、手ぬぐいを巻く、薄手のレッグウォーマーをつける、夏でも湯船につかる等。